ボビー(2005)
'68年6月5日、全米国民から『ボビー』の愛称で親しまれ
希望の星でもあったアメリカ大統領候補ロバード.F.ケネディが
演説先のロサンゼルス・アンバサダーホテルで凶弾に倒れ
翌日亡くなった、享年42歳の若さだった
 米国の希望といわれた兄JFKの死から立ち直れないまま
ベトナム戦争の泥沼に足を踏み入れた米国の最後の希望は
これを機にケネディ家謎の暗殺へとつながっていくきっかけを作っていく…
物語は、その日、アンバサダーホテルに居合わせた、人種職業
何もかも違う22人それぞれの物語である。
誰もがボビーになんらかの未来を託していたはずだった…
元ドアマンのジョンは元ホテルマンのネルソンと慣れ親しんだ
ロビーで大物がくるのを昔話に花をさかせながら待っている。
ホテルの経営者ポールは有能でリベラルな思想の持ち主で
今回、ボビーが遊説に回ってくることを誇りに思っているが
ホテル内に美容室を持つ妻のミリアムとの仲は冷め切っていて
若い電話交換手のアンジェラと不倫している。
そんな不倫を昇進の道具と割り切る姿に唖然とする同僚の
パトリシアは同じ黒人で、大統領選の側近をつとめるドウェインに
励まされ微笑む。ドウェインの同僚、ウェイドはチェコから
やってきた女性新聞記者レンカに何とか取材をとりつけるよう
粘られて断るのに必死だ。
その一方で、レストランでは人種差別主義者のマネージャー
ティモンズは黒人チーフのエドワードを呼びつけにし、新入りの
ラティーノであるホセが今晩六試合連勝のかかってるドジャーズの
試合のチケットが手に入ったから見に行きたいことなどにも
目もくれない。
選挙権も与えられない彼らにマネージャーのポールは彼らに
明日の選挙に行くよう呼びかけ、ティモンズをクビにした途端
彼はポールの不倫を美容室で暴露する。
が、ミリアムの美容院も何も幸せな人間ばかりが来ている
わけではなかった。
まだうら若い花嫁ダイアンは、恋人のウィリアムがベトナムに
送られないように結婚という既成事実を作るためだけに式を
あげるのだという。ウィリアムはそれに躊躇していた。
大統領選演説パーティーで歌う歌手ファロンは、かつては
誰もがあこがれる歌手だったが、今では落ちぶれたアル中だ。
夫が面倒をみなくては誰も救いの手を伸べない。
皆が、壇上にあがるボビーに『何かが変わる』ことを
託していたその時だった…
(原題名:Bobby)
監督:脚本:
エミリオ・エステベス
出演:
ハリー・ベラフォンテ
(ネルソン)
アンソニー・ホプキンス
(ジョン・ケイシー)
ウィリアム・H.メイシー
(ポール・エバース)
シャロン・ストーン
(ミリアム・エバース)
ヘザー・グラハム
(アンジェラ)
ジョイ・ブライアント
(パトリシア)
クリスチャン・スレーター
(ティモンズ)
ローレンス・フィッシュバーン
(エドワード・ロビンソン)
フレディ・ロドリゲス
(ホセ)
ジェコム・ヴァルカス
(ミゲル)
エミリオ・エステベス
(ティム・ファロン)
デミ・ムーア
(ヴァージニア・ファロン)
デヴィット・クラムホルツ
(フィル)
ニック・キャノン
(ドウェイン)
ジョシュア・ジャクソン
(ウェイド・バックリー)
スウェトラーナ・メトキナ
(レンカ・ヤナチェック)
イライジャ・ウッド
(ウィリアム・エイバリー)
リンジー・ローハン
(ダイアン)
メアリー・エリザベス・ウィンステッド
(スーザン)
ヘレン・ハント
(サマンサ)
マーティン・シーン
(ジャック・スティーブンス)
ブライアン・ジェラーディー
(ジミー)
シア・ラブーフ
(クーパー)
アシュトン・カッチャー
(フィッシャー)  
REVIEW(*****)
『グランドホテル』も真っ青な群像劇、これだけのキャストが一同に
そろってなおかつ映画として纏まるというのは流石エステベス
人徳で出来た映画なんだなぁと感心です。
C.スレーターのように『ちょっと遅かったら間に合わなかった』
というキャスティングもあり、A.カッチャーのように元恋(デミ)を
通じてお話がというのもあり、でも一応は『気にいらないなら
断りやすいように』とエージェントを通じて脚本を渡す彼の
律儀さ、でもでも、彼の頼みで断る人って聞いたコトって
ないっすよねぇ、はぁ。
この原案そのものは9.11の頃に思いついたらしいのですが
米国そのものが受けた言葉に出来ないショックも考えて
身内にさえ、半年以上置いてから少しずつ、脚本の原案を
見せていく慎重派。
 それでもツメの部分はふみだせないでいる彼に『オサワガセ者』の
 弟、C.シーンが『映画にすべきだ』と後押ししたのだから
 判らないものです。
撮影場所のアンバサダーホテルは老朽のために映画撮影前に
解体が決定して『ちょっとまったぁ〜!!』状態で撮影が
始まり、映画の撮影中にあちこちを解体しているという異例の事態
だったのだそう。この映画で歴史的建造物も見納めとなると
この時代に郷愁を感じる人にとってこの映画は忘れられなくなる
ものになるでしょうね。
映画の中で『ボビー』本人は実在の映像を使う形で挿入され
『本人』を演じる俳優さんは殆ど『顔』は出てこない『ダミー』
で『後姿』だけという登場になりました。これも
米国のよせる『期待』やイメージでしょうね。
'70年になる前なのでベトナム戦争泥沼突入前というのが
映像のあちこちに見え隠れするというか、選挙ボランティアの
ジミーとクーパーがホテルに泊まってるヒッピーの売人
フィッシャーにLSDを初めて貰い、戦争の幻覚を見るシーンや
I.ウッドとL.ローハン演じる新郎新婦が実は戦争に送られない
為の結婚だったこと、チェコの記者レンカが社会主義国と
誤解しないで欲しいと側近に言い寄るシーンは、この時代
数年だけチェコは独立にこぎつけ民主主義になったこと。
あちこちに社会背景はそれとなくちりばめられていたり
今はなき『電話交換手』という職業が『かつては花形、この頃は
ただのお飾りもの』の職業になりつつあるというのを
いうように、ヘザー演じる交換手は不倫するという。
それを恥じた、黒人の交換手は自分の向上心から選挙側近の
若者の未来に託してみる、また黒人の選挙側近は時期が時期
だけに米国大統領選に挑む民主党のオバマ氏も思い起こさせるし
彼を演じるのは『ドラムライン』で楽譜はよめない天才ドラマー
を演じたニック・キャノンというのもいい押さえどころ。
これまたニクいのが、ボビーを迎えるホテルマンは
ベラフォンテとホプキンス。
『あの事件がなければ数日後にボビーとあう約束だった』
と語る生き証人のベラフォンテの出演は垂涎モノ。
レストランの厨房のシーンは『タイタンズを忘れない』や
『コーチカーター』でも描かれていた人種差別がここでも
浮き彫りになっている。黒人以上に差別されているラティーノの
存在や、ボビーの最後を看取った新人ラティーノのコックが
実名で出てるのにも。そして何よりこの映画の監督脚本は
ヒスパニック系であることに最大のポイントがおかれている
このときボビーがとなえていた人種差別の撤廃はいまもなお
根強く残っているとしたら、監督のメッセージは
届くのだろうかと。
本音でいうと『ディパーテッド』よりこっちの方が
アカデミーに相応しいと思うのだけど、人種モノは響くのでしょうかね


15ミニッツ(2001)
殺人課のエディは、ニューヨークで知らない者がいない有名刑事。
というのもニュース番組『トップ・ストーリー』のアンカーマン、ロバート・に
つけまわされた結果でもある。
ロバートはロバートで彼を利用して視聴率をあげようという算段で
エディはそんなメディアに飽き飽きとしていた。
ある日、チェコ人エミルとロシア人ウルグの2人組による、
アメリカのメディアと法律に挑戦するような殺人事件が起こる。
殺人現場と放火現場をハンディカメラに記録し
自分たちの犯罪記録をとろうとするのだ。
彼らは、自分たちの殺人を目撃した赤毛の女ダフネを探していた。
エディは、捜査に同行したいという消防局の若手放火捜査員ジョーディ
と共に、ダフネをかくまいつつ、2人組を追いはじめる。
しかしエディは彼らに捕らえられ、殺されてしまった。
メディアは、エディの死をどう報道するのか、
ジョーディは、最後までダフネをメディアや犯人から
かばいきれるのか…
(原題名:Fifteen Minute)
監督:脚本:
ジョン・ハズフィールド
出演:
ロバート・デ・ニーロ (エディ・フレミング)
エドワード・バーンズ
(ジョーディー・ウォーソー)
ビーラ・ファミーガ
(ダフネ・ハンドローバ)
カレル・ロダン(エミル・スロバク)
オレグ・タクタロヴ
(オレグ・ラズグル)
  ケルシー・グラマー
(ロバート・ホーキンス)
エイヴリィ・ブルックス (レオン・ジャクソン)
メリナ・カナカレデス
(ニコレッタ・カラス)
 
REVIEW(**)
これか『ショウタイム』かどちらかだったと思うのだけど、確か
酒鬼薔薇事件があって、映画の内容が、事件を髣髴とさせるので
上映が一週間で打ち切りになったデ・ニーロの作品。
あのときは『見にいけなかったな』と思いつつ、地上波で見て
『これをあの時、映画館でやってたら不謹慎以外の何者でもないな』と。
映画の内容としては、あれだけ過剰に放映する米国でも
こういうことはタブーなんじゃないかと疑問視してる輩もいる
というのはありがたい+そういう意味もこめてデ・ニーロは出演したんだろうな
けど、これはストーリーの作りが荒くて残虐なので、おいしいところを
 さらってるのが、消防捜査官のジョーディー。彼は比較的マトモな
シーンにだけ出てきている上、ラストもデンデンまともなのがいない中
一人だけマトモに映画を引き締めてくれるので。
 殺人シーンを映像にとった挙句に、精神異常なら裁判を逃れられるという
言い訳も、日本の有名な殺人事件で、何回も出てきていることなので
見てて決して後味のいいものではなかったというか、日本でこういう事件が
多発する前に、米国にこういう映画をつくられてしまった
てのは立場ないですねぇ。
そういえば、ダフネを演じている人は、『ディパーテッド』で
ディカプとディモンに恋される、精神科医マドリンの役の人ですね


ファイヤークラッシュ/灼熱のカタストロフ(2002)
オレゴン州の火災救助隊パイロット、ジムはバイナリッジの山火事で
降下消防隊を救えなかったばかりか恋人まで失った喪失感に
苛まれていた。
もしもあの時、消化剤を撒くタイミングさえあっていたなら・・・
今までスポーツ誌しか興味のなかったジムは、その日から
過去にあった山火事の研究に没頭しはじめ、今、オレゴン州は
過去50年で最低の雨量であり、このままでは『スーパーファイヤー』が
いつ起こってもおかしくないと、あのときセスナにのっていた
同僚に話すが相手にして貰えない。
スーパーファイアーとは、核爆弾並みのエネルギーがあり、
その威力は2分間で10平方マイルを燃やす壊滅的威力を持つ
山火事、山はおろか街も飲み込む火災だ。
事故は直接彼の責任でないにも関わらず、転勤させられ、
転属先では新聞沙汰になった悪評に、同僚となった海軍出の
男勝りな美人誘導パイロット、サミーは相手にもしない。
そればかりか、最初の消火活動では、彼の腕試しに
挑発する態度をとる行動に出たので、熱血漢が先に立った
ジムは乗ってしまい、上司に警告を受ける羽目に。
そんな中、山火事が起こる。降下隊が待機する山の中、
コンピューターの分析結果で、“スーパーファイヤー”になる
最悪の予想がでた。
しかし、現場の声に耳をかさない上司、旧式の壊れたセスナ。
難燃剤は効き目がない。遅すぎる避難勧告。
燃え盛る山に知らずにキャンプに出かけた少年少女。
2度とあの悲劇は繰り返したくない!ジムは、どうするのだろうか?・・
(原題名:Superfire)
監督:
スティーブン・クエル
脚本:
リチャード・プレストンJr.
共同脚本:
ダグラス・プレストン
出演:
D.B. スウィーニー
(ジム・メリック)
ダイアン・ファー
(サミー・カーンス)
チャド・ドネラ
(ロブ・トーレック)
ウェス・チューディ
(ジョー・ナイトレール)
ジョン・ノーブル
(ポール・ベイリース)
カタリナ・ホブス
(キャシー)
クレイグ・マクレイン
(ジャック・スキッドラー)
エレン・マス
(ジル・パーキンス)
ジェイ・バンヤン
(デニス)
アレックス・リーカース
(レイチェル)
ダン・モット
(ショーン)
ケイト・レイソン
(ベス・パーキンス)  
REVIEW(***)
阪神大震災の日を前にアメリカのTV映画が地上波で
放映されたわけですが、『一番恐ろしいのは地震の次の火災』という
言葉のように、留まることを知らずに燃え続ける火に『戦う』
姿を『戦士』に描く姿は、途中の『何もしらないで山火事の
山に入っていく』ガキンコのシチュエーションを除いたら、
『バックドラフト』に似たいいつくりになってました。TV映画に
しては上出来です。
『ワールド・トレード・センター』で『CGの使いすぎとわざとらしい
演出で失望した』という人には、どうせCGを使うのなら
こういう方がまだ『現実味』があるんじゃないでしょうか。
主演は『遅れてきたヒーロー』になってるD.B.スウィーニー
なんつーのか『脇役でいいから小粒でいいものしか出たくない』
という姿勢は『エイトメンアウト』『メンフィスビル』『陽だまりのグラウンド』
など過去の作品を見ても判ります。
今回もTV映画ですが、今まで『人の引き立て役』に回ってた
彼にようやく出番ってコトで何も知らん人が見たらこの
向こう見ずな役は、昔のラッセルみたいでいいんじゃないでしょか。
地上波で放映された時期も時期で阪神大震災から12年目、
『地震の次に来る火災は恐ろしい』ということなのでしょう。
山火事をどうやって消すかというのに『降下隊』というのが
出てきましたが、不眠不休で自然の摂理に従って木をなぎ倒し
枝をかぶせ、火を消していく・・・単にこの主人公のように
タンカーパイロットが上から消火剤をまくだけじゃないというのを
改めて実感したわけです。
そういった意味でも、TV映画ってのもあるかもしれないですが
勉強にもなるし、いがったす。


プラダを着た悪魔(2006)
アンディは、ジャーナリストを目差して偶然にも採用されたのは
『ファッションに興味があるなら誰でも手に入れたい』ポストだった。
一流ファッション雑誌『ラナウェイ』の編集長のアシスタントとして
採用されたにも関わらず、アンディは、この雑誌が何かも、カリスマ編集長
ミランダが何者かも、勿論、社内、業界用語など全く判らない。
あまりにも『正反対』の人間がやってきたことに、アシスタントのエミリーには
『人事部の冗談か』とけなされ、このポストが何人もの犠牲者で成り立っていた
恐ろしいものだと判ったところからさあ、大変。
ただの『雑誌社』とは違う、異次元に放り込まれたアンディの
私生活は、めっちゃくちゃに。24時間体制の仕事、業界用語は判って当たり前
オシャレで当たり前、ぺったんこ靴を10cmヒールに変え、
ハイゲージ学生ルックスをシャネルのフリンジスーツに変え、
ミランダの鬼のような要求の数々、台風で一機もジェット機の
飛ばない空の下、彼女を『子供の演奏会のために』帰し、たった一度のミスのため
『出版されていないハリーポッターの新作のゲラ』を手に入れ、そこに待っていたのは
第一アシスタントの地位だったのだが…
(原題名:The Devil Wears Prada)
監督:
デヴィット・フランケル
脚本:
アライン・ブロッシュ・マッケンナ
出演:
メリル・ストリープ
(ミランダ・プリーストリー)
アン・ハサウェイ
(アンドレア・サックス)
エミリー・ブラント
(エミリー)
スタンリー・トウッチ
(ナイジェル)
エイドリアン・グレニアー
(ネイト)
サイモン・ベイカー
(クリスチャン・トンプソン)
REVIEW(****)

アメリカのTV史上最もファッショナブルな番組と知られた「Sex and The City」の
タッグ、デヴィッド・フランケル+パトリシア・フィールドが、作り上げたというのもあり
かなりゴージャス。
世間で憶測の飛んでいるように、ミランダのモデルはやっぱりあの
『ヴォーグ』の伝説の編集長、アナ・ウィンターしかいないんじゃ
ないんだろうかと、原作者のワイズバーガーが勤めてた頃からの
編集長っても彼女だし(汗)、それでも『どこふく風』の顔で
『面白い映画だから成功を祈ってます』とコメントしたアナには感服
ミランダを演じたメリルを別にアナをモデルにしたわけではないし、
複数の男性をモデルにしたと言っていたらしい。
まぁ、劇中でミランダがアンディを最後にエールを送るシーンは
このアナがダブりましたが。
『ここで勤まればどこでも務まる』というミランダの
思惑はどの業界でも通用するのではないでしょうか。
仕事の基本をいい加減にやると、どの業界に行っても
中途半端、出世なんてもってのほか、生き残ることも夢
なのだと身をもって教えたのだろうし、最後にアンディが
ミランダとの携帯を噴水の中に入れちゃったのは
優秀な部下ほど、辞めてしまう現実と。
 アンディはラストで、本当は自分は何をしたかったのか
仕事は楽しくなってきたけれど、自分の大切な何かを
犠牲にするほどの会社なのだろうかとふと立ち止まってみた
確かに『ラナウェイ』は誰もがあこがれる会社だけれど
自分にとってみれば贅沢だろうが『通過点』と冷静に
判断したからこそ、自分を見失わなずに済んだという。
こういう、『いざとなれば執着や甘えを捨てることが出来る』
女性ってナカナカいないかも。



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