幸せのちから(2006)
時は'81年、骨密度測定器の営業マンのクリスである
彼の一日は5歳になる息子、クリストファーをチャイナタウンの
保育所へ預けにいくことから始まる。
このお世辞にも、設備が整っているといえない、民間預かり所に近い所の壁に
『Happyness』と綴りの間違った英語がかかれているのを
いつまでも修正しない施設にふがいなさを感じるクリス。
クリストファーをどちらかの祖母の元へ預ければこんな目には
あわせなくてすむのだが、28歳まで実の父親を知らずに育った
彼としては、クリストファーにお金では買えない父の愛を
教えたかったのだ

しかし。この不景気、レントゲンの何倍もの精度は持っても、
価格は二倍で、なおかつ、時代遅れのミシンのようにドデカイ
骨密度測定器に大学病院が喜んでお金をはたくわけもない。
ましてや、クリスのように病院にたいしたコネもなければなおのこと。
ただ機材にホレこみ、一台売れば一ヶ月楽に暮らせるという安直な
 見通しで『機材買いとり』で営業をしたものの、日々の糧は
妻のパートが頼り。全く売れないことが殆どだった。
 そんなある日、彼の目の前に赤いフェラーリーから颯爽と降り立った一人の
男性に見とれ、クリスは彼が何者か声をかける。
彼は証券会社のディーラーで、学歴がなくとも、インターンを通過すれば
正社員への道は開けるというのだ。
早速、クリスは彼の勤めるディーン・ウィッター社の養成コースに
通う。定員20名。研修終了後に選ばれるのはたった一人。
インターン期間は無給…。
彼がアパートに帰ると妻、リンダはクリストファーをつれて出て行ってしまった。
何とか、クリストファーを保育所からつれもどしたものの、アパートからは
家賃滞納でしめだされ、その日からは測定器を売りながら安モーテルに
停まり、格闘する日々が続いた・・・
 そこからさらなる試練が二人にまちかまえているともわからないままに・・・
(原題名:The Pursuit ofHappyness)
監督
ガブリエレ・ムッチーノ
脚本:
スティーブン・コンラッド
出演:
ウィル・スミス
(クリス・ガードナー)
ジェイデン・クリストファー
サイア・スミス
(クリストファー)
タンディ・ニュートン
(リンダ)
ブライアン・ハウ
(ジェイ・トウィッスル)
ダン・カステラネタ
(アラン・フレーケネシュ)
 カート・フューラー
(ウォルター・リボン)
タカヨ・フィッシャー
(チュー夫人)
 
REVIEW(****)
'03年にABCの報道番組『20/20』でこの映画のベースとなった
クリス・ガードナーの特集が組まれていたのを、映画の
EXプロデューサーが目にしたことが全ての始まりだったという
実際のガードナーの人生は、映画以上に紆余曲折
医療機器のセールスマンになる前に既にバツ1で
クリストファーは『恋人との間に出来ちゃった』で
恋人が息子を連れて出て行ってしまった上、
インターンで入った最初の会社はディーン・ウィッター
ではなくEFハットンだったのだが採用した担当者が
解雇されたので、受け入れが白紙になるという
ディーン・ウィッターのインターンになるまでの
映画のストーリーまでの下積みは計り知れない。
しかも、この一番苦労した時の、クリストファの
年はなんと一歳半。
恋人が黙って連れて行こうとした理由も、さることながら
彼がどうやって育てたんだろうと。
映画の中では、五歳に年齢を引き上げたクリストファーを
7歳のジェイデン君が演じてるわけなのだけど、
モデルとなったガードナーとしては
『自分以外に頼るものがいなくなる無一文の過程を
きちんと描いて欲しい』ということで、息子の年齢は
引き上げられ、『恋人』だったパートナーの設定は
妻になり、無一文になったとき身を寄せる教会の牧師として、
実在するホームレス対策に一番成功を収めている、
ガードナー自身が心の支えと仰ぐ人物が実名で登場する。

『アメリカ人は、アメリカン・ドリームを当たり前だと思ってるから
描いていてもリアリティがない』と語ったのが監督。
そうだなぁ…これって今の日本人にもいえてるかもしれない
今回、脚本も『フィクションとノンフィクションを混ぜる』
のも上手かったと思う。それを演じる俳優・女優も。
ガードナーがルービックキューブの名人というのは架空だし
奥さんがどうしてガードナーを捨てていかなくちゃ
いけなかったのかというのは全くの架空なのに、本当のようだし
この話の後、実際のガードナーは移籍した証券会社で稼ぎ頭になり
自らの会社を設立、念願の赤のフェラーリーも手に入れた。
会社は、経営方針により、売り上げの一割は教育事業に寄付
しているのは、映画のオープニングににじみ出ていることかもしれない。


サンキュースモーキング(2006)
オレ?ニック・ネイラー、タバコ業界のロビイストの宣伝マン。
判らんだろう?まぁな、『ニコチン界のカーネルサンダース』といった所か。
限りなく真っ黒に近いコトも漂白剤かけたみたいに真っ白に言ってしまう
『スピンコントロール』がオレの仕事。学位もへったくれもいらない
要るのは『頭のよさと饒舌さとタフさ』何ィ?タダのウソツキだろって。
米国で嫌われる『三大凶器』銃、酒、で悪名高きナンバー1がタバコだ。
日に1200人も殺すなんてデータが出て『有害じゃありません』なんて
ニコニコしていうトンデモな商売でカネを貰ってるオレにカミさんのジルは
オレへのあてつけか、わざわざ『医者』と結婚して、『オレ』が住宅ローンを
払っている家に住んでいる。
オレの賃貸アパートの元には、『母親を黙らせる交渉術』をオレの仕事振りから学んだ息子
ジョーイが冷め切った顔で、母親とオレの間をいったりきたり。
そんなオレにジルの再婚相手のブラッドは『ジョーイのためにタバコをやめろ』
などとヌカしやがる。バカいえ。オレは『父親』だ。オマエは『カミさんとヤル男』だろ。
今日も今日で、『八方塞がり』の仕事を『トンデモな形』で切り抜けた。
TVショーに呼ばれて、厚生労働省の偉いさん+健康団体+NGOが
つれてきた『タバコでガンになった少年』を相手に
『タバコが無害』を証明するトークショー。そんなバカな。でもこれも仕事。
オレはこの少年が死んだら、タバコ業界は顧客を失い、厚生労働省は彼をつれてくる
ことでガッポリ補助金が欲しいんだろうと、論点をすりかえツっこみ、5000万ドルの
未成年者喫煙撲滅キャンペーンをするという、直属の上司、BRにも了解してない
大風呂敷を広げてさっさと退散した。勿論、BRは怒髪ナントカものだったが。
オレの周りには、そのほかにも敵だらけ、『タバコは害だからパッケージにドクロマークを』なんて
法案を通そうとする、イナカもの上院議員のフィニスター、初代マルボロマンのくせに
タバコ業界を告訴しようとするカウボーイ、ローン・ラッチ。
今日も今日で、オレの机の上のファイルは具を詰めすぎたサンドイッチのような
苦情ファイルがたまっているが、そんなもんスルー。
とりあえず向かうは、いつもの店。そこに待っていたのは、アルコール業界の
ロビイストのポリーと銃製造業会のロビイスト、ボビー、三人揃って
モッズ特捜隊(Mechant Of Death)、日々他人様を死に送り込む商売人が
本音を語り合っている。ジョーイといる他に本音を話せるとしたらこの時間しかない
今、ワシントン・ムーンの美人記者ヘザーから取材を受けたと言った途端
二人の顔色が変わった『オマエ、あの記者と寝ちゃダメだぞ』え?それって?
…が哀しいかな、オトコの本能、やっぱり美女の前だと忘れてしまう
これが大きな落とし穴になるともしらずに…
そんな折、オレの元にローンを買収しろという命令が下った。
おりしも『映画でタバコをすわせたらどうだろう』という企画も同時進行中
命はいつ狙われてもおかしくない。そんなオレに最大の難関がふりかかろうとは
思ってもいなかった
(原題名:Thank you for Smoking)
監督:脚本:
ジェイソン・ライトマン
原作:
ニコラス・バックリー
出演:
アーロン・エッカート
(ニック・ネイラー)
キャメロン・ブライト
(ジョーイ・ネイラー)
ロバート・デュバル
(キャプテン)
J.Kシモンズ
(BR)
ウィリアム=M=メイシー
(フィニスター上院議員)
マリア・ベロ
(ポリー・ベイリー)
デヴィット・コグナー
(ボビー・ジェイ・ブリス)
ケイト・ホームズ
(ヘザー・ホロウェイ)
サム・エリオット
(ローン・ラッチ)
ロブ・ロウ
(ジェフ・マゴール)
アダム・ブロディ
(ジャック)
キム・ディッケンズ
(ジル・ネイラー)
ダニエル・トラヴィス
(ブラッド)
トッド・ルイーゾ
(ロン・グード)
マリアンヌ・ ミュラレーン
(学校の先生)
 
REVIEW(*****)

予告のあまりの面白さで期待してた一作で、オープニングからエンディングまで
中だるみなく、キチっとみせてくれました。『ゴーストバスターズ』で有名になった
I.ライトマンの息子さんの長編第一作目で、娘さんのキャサリンさんは
ニックにインタビューするレポーターの一人、原作者のN.バックリーは地下鉄の客の
一人で出てますが、どこでしょう(笑)DVDの特典でのお楽しみかも。
オープニングのノーテンキ+毒舌満載ぶりにはズッコケ、その調子で
ガンガンひっぱりつつ、ドラマも忘れないで、ドライに仕上げ、原作の諸外国には
判りづらい部分は省くという手腕にはうなりました。
タバコのパッケージデザインを模したキャスティングイントロダクションに
『Smoke,smoke.smoke,your ciggarett(吸って、吸って、吸いまくれ)
フカして、フカして、フカして、くたばっちまえ、天国の門番が支えてる』なんて歌詞が
陽気な音楽に乗せて流れるか〜オイ〜。
原作では、多少小汚いやり方で今の業界を勝ち抜いたBRは自分の美人秘書も連れて
生き残ったのだが、メディア業界から、BRの前の上司が反対を押し切ってニックを
ヘッドハントし、さらに彼がキャプテンに目をかけられているのが気に食わない
ので部下を使い色仕掛けを使うという、映画のヘザーの役割の半分は
この美人秘書のようなもの。半分は、『ニコチンパッチを貼ってニックを
半殺しにする役』なのだから。
原作が『ロビイストとしてのタフマンぶり』を描いたのに対し映画は、
原作であまり描かれることのなかった息子ジョーイとの関係を中心に
父親としての責任を描き出している。
最終的に、息子が18歳になってタバコを吸える年齢になった時どうすると
いわれ『息子の判断にまかせる』というのは言い逃れではなく、自分の行き方を
見つめる息子を信頼してなのだろう。それが後のニックの『身の振り方』
というオチにつながってる点は実にすがすがしい。



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