クリプトン星を探し、ロイスをおいて当て所ない旅に出た
スーパーマン、C.ケントだったが、クリプトン星はやはりあの時
消滅していたのを目の当たりにし、自分の故郷は地球と心に決め
遥か宇宙の彼方から『鋼鉄の男』は舞い戻ってきた。
が、彼が宇宙をさまよえる間、地球では五年の歳月が流れ
出社したデイリー・プラネットでは、彼を出迎えてくれたのは
ロイスのお抱えだった突撃カメラマンのジミーだけ。
何と、ロイスはこの五年の間に編集長の甥リチャードと婚約、しかも,
喘息もちの息子まで。あまりの驚きにロイスとリチャードの映ってる写真たてを
怪力で割ってしまうクラーク。一番ショックだったのは、彼女がクラークが
いない間にとったピュリッツアー賞の記事の題名は
『何故われわれはスーパーマンを必要としないのか』
出社してきたロイスはクラークと再会してもそつない顔。あの日、スーパーマンに
おいていかれた傷が消えない理由は、喘息もちの息子ジェイソンが
誰が父親かわからないこともあったからだ。
戸惑う、クラークをよそにロイスはさっさと、別の取材の為、飛行機にのりこむ。
が、悪い知らせはそれだけじゃない、宿敵、レックス・ルーサーは裁判に
スーパーマンが出廷しなかったのをいいことにまんまと釈放され、カンゴクの中で
文通していた世間ボケ富豪老女と知り合い、ごっそりと財産を頂くことに成功.。
遺産をつきごみ、『スーパーマン撲滅作戦』に心血を注ぐ。
彼は、スーパーマンの隠れ家を突き止め、クリプトナイトを盗み出し、
それを使い、カリフォルニアを沈め、パニックに陥れた挙句、北アメリカの
不動産価格をピンハネしようとするつもりなのだ。
その手始めに、ロイスが取材で搭乗している、スペースシャトルに牽引されている
飛行機を操ろうとする。ロイスを乗せ、操縦不能となりまっさかさまに墜落していく
飛行機を止めることは出来るのか・・・今こそ、戦え！スーパーマン！
(原題名：Superman Returns)
ブライアン・シンガー
脚本:
マイケル・ドアティー
ダン・ハリス
出演:
ブランドン・ラウス
クラーク・ケント/
スーパーマン) ケイト・ボスワース
ロイス・レーン)
ケヴィン・スペイシー
(レックス・ルーサー)
ジェームス・マーズデン
(リチャード・ホワイト)
トリスタン・レイク
リーブ
(ジェイソン・ホワイト)
パーカー・ポージー
(キティ・コワルスキー)
フランク・ランジェラ
ペリー・ホワイト)
サム・ハンティントン
(ジミー・オルセン)
エヴァ・マリーセイント
マーサ・ケント)
マーロン・ブランド
(ジョー・エル )
カル・ペン
(スタンフォード)
デヴィッド・ファブリゾ
(ブルータス)
お帰り、スーパーマン！
映画のオープニングでおなじみのJ.ウィリアムスの曲が流れ、宇宙が映り
それが『スーパーマンの視線で、クリプトン星から地球に帰ってくる』と気づいた
時のあのワクワク感！、太陽系が近づいてくると、スーパーマンの『速度』が
どんどん速くなって『はやく地球に帰りたい』という思いも体感できるオープニングが
なんだか嬉しくて、嬉しくて。
これをみて、どうして、ブライアンが『X-men』シリーズを蹴ってまで監督したのか
意味が判った気がする。確かに、あちらはあちらで別の意味があって通しで見た
のだけど、全部みて『続きがみたいか』と言われれば、首は縦にふれないわけで
C.リーブ亡き後、私の生まれた世代以前のアメリカ人は特に、『もう誰も
スーパーマンを演じられないだろう』と思っていただろうし、また、監督や製作者も
相応しい人が出てこなかったのも事実。企画が出てきたのは
『もうそろそろ、『理屈ぬきに幸せになれる映画をつくってもいいんじゃないか』』という
あらゆる現場をみてきた監督サイドであり、この企画をオファーされた監督が口を
揃えて言った事。『X-men』のラストを監督することになったB.ラトナーでさえ
『鋼鉄の男』も観客を捕らえる具体案も練ることはできなかったし、その点
ブライアンは『一作目』を撮らせると、『ここは考えてなかった』アイデアが浮かんでくる。.
『X-men』でヒューたまを抜擢したように『ヒーローは新人であるべき』というのも。
『誰かの代表作主演の一つがスーパーマンじゃだめなんだよ』というのには、もし
子供がこの映画を大人になってから見て『な〜んだ、やっぱり有名な人だったのか・・・』
とある意味の『失望』もさせたくないからだろう。
ジェームス・マーズデンもその形で、本来は『X-men』シリーズに抜擢されていたのだが
ウルヴァリンを目立たせる、脚本や流れで、どうしても原作と外れた意向になり
その分も、『今回は、お気に入りの監督の下で、キチンと役作りについて聞いてもらってるから
もう僕は大丈夫』と彼なりの落ち着きと、本領発揮が出来たと思う。
が、一番の芸達者は何より、ルーサー役のケヴィン。水を得たような、悪役ぶり。
ブライアンが彼を念頭においていた以上に、セットの中で、キャリーカートに乗って
『スーパーマン、しねぃ！がははは！』とわめいて暴れまわったので、監督がアキれ果てたのも判る
話の概要としては、明朗快活ながら、アメリカ人がいかに、スーパーヒーローに潜在意識の
中で頼ってるかがわかる映画でもあった。飛行機が墜落しそうになって、スーパーマンが
ギリギリで受け止めるシーンにしても『ありえないだろう！』と思いつつ
『統計学的にみて飛行機は安全な乗り物ですから、どうか楽しんで』と案内するシーンには
あのテロ以来失った飛行機会社からのメッセージもあるんだろうな、と。.
やっぱ、ジェイソンは、二世なんすよね。でもクリプトナイトが弱点じゃないという。
じゃ、ルーサーは今のうちに『二世』作っとかないと、ヤバいすね（コラ）
そんなジェイソンに『そのうち、人との違いに気づき、仲間はずれになることもあるだろうけど、
一人じゃないから、自分自身の力で強くなることは出来るし、これからの未来を見通すことも
できるだろう・・・』と『二世』の寝顔を見ていうスーパーマンが印象的でした。
この夏、一番の幸せを運んでくる映画でしたね
